身元保証人とは②
就職先が決まってホッとしていたら、会社から「身元保証人」を求められてしまった・・・。
このようなケースが多くあると思います。会社としては、入社した人がどのような人かわからないですし、何かあったときに保証をしてくれる人がいれば安心できます。また、身元保証人を頼める家族や知人がいる人でしたら、身元保証人を裏切ることがないよう真面目に働いてくれる人とも受け取れるかもしれません。
現在は、身元保証人制度が無い会社もあるようですが、この習慣は根強く残っていますので、保証人を頼んだり、頼まれたりしたときのために知識があったほうが良いかと思います。書籍やネットでも調べられますが、間違いのない知識を得たい場合は、専門家に相談してみましょう。
身元保証人とは
身元保証人は、就職する際に求められることが多いもので、就職をした人が会社に対して損害を与えた場合、その就職をした人と共に責任を負って弁償をする人になります。
借金の保証人と違い、気軽に引き受ける人も多いと思いますが、責任は重いものとなります。例えば、就職をした人が売上金を横領したり、お店の商品を盗んだ場合は、就職した人とともに弁償をしなければなりません。身元保証人を頼まれた場合は、就職をする人が品行方正で信頼できるかどうかを十分に検討をしたほうが良いかと思います。
ただし、就職の身元保証人は、借金などの保証人と違って、場合によっては辞退することも可能なようです。また、2020年の民法改正によって、身元保証人の保証極度額を明示しなければならなくなったので、以前に比べれば保証範囲は限定されるようになりました。しかし、保証極度額が高額の場合もあるので、内容をよく検討をしたほうが良いようです。
身元保証人を求めた会社の義務としては、身元保証人に対して、就職をした人に重要な変更があったときは通知しなければなりません。例えば、身元保証人が監督できないような遠方へ転勤したときや、人事異動で仕事の内容がまったく変わる場合などがあるようです。また、就職をした人が会社のお金を使い込んでいることを知っていたが、解雇せずにいた場合なども身元保証人に通知しなければならないようです。
身元保証人を頼みたいとき
「就職活動を頑張って、やっと就職が決まった!」という人が多いでしょう。ご両親が健在で働いているようでしたら、まずはご両親に相談するのが良いかと思います。また、自分の子どもが成人していて働いているようでしたら、子どもにお願いするのが良いかと思います。家族でしたら、自分のことを一番わかっている可能性が高いですし、何よりもお願いしやすいのが一番かと思います。
家族には頼みずらい人や、親戚や友人・知人にも頼みずらいという人もいることでしょう。自分は他人に迷惑をかけず、真面目に仕事に励もうと思っているのに、保証人を頼める人がいない場合もあるかと思います。この場合は、会社に相談してみるのも一つの手段かと思います。しかし、新しい就職先に相談するのも躊躇する場合は、保証人紹介会社や保証人代行会社の利用を考えてみるのも良いかもしれません。その場合は、その会社が信用できるかどうかをしっかりと調べてから利用するとよいでしょう。
身元保証人の必要人数
就職先から身元保証人を求められる人数ですが、それぞれの会社が独自に決めていることなので、何人が普通ということはないようです。多くの会社は1~2人が多いようです。稀に保証人を2人求めているが、1人は家族で、もう1人は家族以外の親戚や知人を求める会社もあるようです。
身元保証人の条件
身元保証人に対する条件ですが、これもそれぞれの会社が独自に決めていることなので、何が普通ということはないようです。一般的には、定職についていて独立して生計を営んでいる人になるかと思いますが、会社によって違いますので、確認をするのが良いかと思います。自分が普通だと思って頼んだ人が、会社では受け入れられない可能性がありますので、確認することをお勧めします。
会社によっては、昔からの習慣で身元保証人を求めており、何も条件が無い場合もあります。
これは勝手な印象ですが、そのような会社は、身元保証人に対して損害賠償を求めるようなことが過去に一度もなく、悪いことができないシステムができあがっていて、ギスギスせずに風通しが良く、社員も悪いことをするような雰囲気が無いような、働きやすい良い会社だと思ってしまいます。
身元保証人が用意するもの
身元保証書は、身元保証人に氏名や住所を記入してもらって、押印をして頂くという流れになるかと思います。押印ですが、認め印で良い場合と実印が必要になる場合があります。実印が必要な場合は、印鑑証明書の添付も必要になる場合が多くあります。この他に、身元保証人の身分証明書や住民票が必要になる会社もあるようです。必要な書類とハンコも会社によって違いますので確認が必要ですが、身元保証書に必要なハンコや書類が明記されている場合が多いようです。
最近、身元保証書をクラウド(ネット)上で入力したり、必要書類をスキャンしてアップロードすれば良い会社を見受けられるようになってきました。この場合、ハンコは不要なことが多いようですが、それに代わる資料を用意しなければならないようです。
身元保証書の提出期限
就職が決まって身元保証書を渡されました。いつまでに提出しなければならないのでしょうか?
これも会社によって様々です。例えば1か月以内などと会社から指示がある場合もあります。
例えば、提出期限が1週間以内だとします。身元保証人を頼める人が遠方に住んでいる親戚で、郵便でお願いするとしても1週間以上かかってしまう可能性が出てきてしまった場合、早めに会社へ相談しましょう。提出期限を過ぎてから相談しても、ただの言い訳に取られてしまい、信用されなくなってしまう恐れがあります。身元保証書を用意することも仕事の一つですので、期限を守らなければいけないことですし、やむを得ない事情で期限を守れない可能性がでてきましたら、すぐに会社へ相談することが重要です。前もって相談をしておけば、身元保証人という第三者も関係することですので、多少の期間延長は認められると思われます。
身元保証人の確認
身元保証書に保証人の氏名・住所・電話番号などを記入してもらい、押印してもらって提出をしましたが、身元保証人の確認を会社はどのように行うのでしょうか。
これも会社によって様々です。書類提出で終了というところもあれば、保証人に電話をしたり、郵便で確認を取る会社もあります。
統計がある訳ではありませんが(統計があったとしても、自分が就職する会社がどれに該当するかはわかりませんが)、わたしの印象では、次の順序でした。
①提出された書類の確認のみ
②身元保証人に電話連絡をして確認
③身元保証人に挨拶状(確認書)を郵送
重ねて申し上げますが、これはわたしの印象で、会社によって様々です。
②と③は、話す内容と挨拶状の内容は同じようなことで、「○○さんの身元保証人になって頂きありがとうございました。もし、この内容が違う場合は申し出てください。」という感じが多かったように思います。
もし、身元保証人を頼んでいない人の名前や住所を書いたとしても、会社が確認をすればすぐに判明しますので、悪いことは考えないようにしましょう。
身元保証人がいない
身元保証人を頼める人がいない場合、身元保証人紹介会社や身元保証人代行会社の利用を検討するのも一つの手段だと思います。ネットで見るといろいろな会社が出てきます。まずはウエブページで料金や条件などを確認してみてください。いくつかの会社に絞ってみましたら、電話で質問をしてみて、しっかりと答えてくれるかや、実際に会社へ訪問をしてみて、担当者とお話をしてみるなど、信用できるかどうかを自分自身でしっかりと見極めるようにしてください。その上で、信用できる会社へ依頼するのも良いかと思います。
最後に
身元保証人制度は古い習慣かもしれません。しかし、就職先で求められたら断るのも困難なことです。せっかく決まった就職ですので、身元保証人制度に文句を言っても始めりません。何とかして誰かに身元保証人をお願いしてみたり、身元保証人がいないことを会社に相談してみたり、それでもダメな時は、身元保証人代行会社の利用を考えてみたりと、手段はいろいろ有ります。今後のご活躍を期待しています。